子育て中のイライラの処方箋!?「マインドフルネス」の活用法

マインドフルネス

今回は、子育て中に感じるイライラや自己嫌悪について、その心の仕組みとマインドフルネスの活用法を学びました。

なぜイライラするのか、その仕組みがわかると、何だかちょっと気持ちにゆとりが生まれたような気がしました!

講師は、昨年10月に開催したマインドフルネス講座でも講師をされた島田啓介先生。

島田先生は、おとなの寺子屋を主宰する平原先生が「最近、企業においても様々な効果が期待できるとマインドフルネスの講座が増えているが、島田先生はその中でも体系的にマインドフルネスを伝えることができる先生です」という一押しの先生です。

もう一人は、自ら親子でマインドフルネスを活用している柴山みゆきさんです。

子育ては思い通りにいかない

子育ては、思い通りにいかないものです。それは当然なんです」と島田先生。

「親子の間には世代の違いによる考え方、価値観のギャップは必ずあるし、家は安心な場だからこそ、いいところも嫌なところもありのままが全部出てしまう。

しかも、年齢が上になればなったで、また別の子育ての悩みが生まれるし、家族って、問題製造機みたいなもんです。古代エジプトの石板にも「今の若者は理解できん」と書いてあるらしいですから、いつの時代も子育てってそういうものなんでしょうね

だから、次から次へと生まれる問題を、モグラたたきみたいに、しらみつぶしに問題を解決するなんて無理ですよ。キリがないですからね・・・。だから、解決とは全く違うアプローチが必要なんです」

え~。いきなり無理とおっしゃる??それにしても、解決する以外の全く違うアプローチとは??

心の仕組みを知ろう

全く違うアプローチ・・・、それが「念」心が”今”にある状態にすることです。(これをマインドフルな状態にする、と言います)なぜそうするとよいのでしょうか?

「イライラや自己嫌悪など、感情に揺さぶられている時、人の頭の中は色々な考えがぐるぐると渦を巻いています。その時の思考のエネルギーは、人間の生命エネルギーのなんと8割近くを占めているそうです。

車で例えるなら、ギアを踏まず、からふかしでガソリンだけ消費している感じ。なぜこんな、ただ疲れることをわざわざしてしまうのかというと、人は、仏教でいうところの三毒を持っているからなんです」

三毒とは・・・

貪(とん):不足感、もっともっとと求める⇒「もっと〇〇しなさい」

瞋(じん):怒り、否定する⇒「なんでしないの?」「~やらないとでしょ?」

痴(ち):理解がない。無視、放置する⇒「もう知らない!」

カギカッコの部分、普段よく子どもに言っているような・・・。この三毒が、結局は自分自身の苦しみを生んでいるのだそう。

「『じゃあ、そんな風に考えないようにしよう』、あるいは『考え方を変えよう』と思われた方もいるかもしれませんが、それは、” 考えないようにしよう”と考えている、ということになるんです。” 考えないように努力する”ではなく、” 考えるのをただ止める”のが大事なんです」と先生。

考えるのを止める

「考えるのを止める??」と思っているところに、島田先生が取り出したのが鐘(エナジーチャイムというそうです)。その鐘を先生が鳴らし、参加者全員でその音に集中してみました。不思議に気持ちが落ち着いてきました。

「人はつい、『今日の夕飯何にしよう』『あれは大丈夫かしら』とアレコレと考えてしまいます。でも、今鳴っている鐘の音に集中したように、”今”に意識を向けると、心配することにエネルギーを配分できなくなります。だから、”考えを止める”ということができるんです」

「子育てで思うようにいかず、イライラする時、落ち込む時、いろいろな感情や考えが頭の中でフル回転しています。

そんな時に、今ここにあるものに意識を向け、考えるのを止めると、気持ちが落ち着きます。気持ちが落ち着くと、見通しがよくなり、自分がしたいと思っていた本来の行動ができるようになるんです」

集中するには、鐘を使う以外にもいろいろな方法があります。お茶を飲むのもよいし、息をする、服と体の接触感を感じる、椅子に座った時におしりへの圧迫感を感じるといった普段は意識さえしたことがないベーシックなことに意識を向ける、というのもよいそう。

ちなみに、鐘(エナジーチャイム)の音は集中しやすいようで、参加者からも「ほしい」という声が結構聞かれました(^^)

親から子へ受け継がれてきた心のクセ

「そうは言っても、イライラしている時に、息や接触感に意識を向けるなんて無理!」という声も聞こえてきそうなことも、島田先生は織り込み済みでした。

「そうは言っても・・・なんて言っていると、そうは言っても、そうは言っても、と言って考え続けるだけなんですよね。これ、私達の心のクセなんです。

親も、そのまた親も、ずっとそう言い聞かされてきたから、私達の体に刷り込まれてパターン化しているんです。怒りっぽい家系とか、最近自分の怒り方がお母さんの怒り方に似てきた、とかありませんか?

それは、自分が見てきた、体験してきたパターンがしみついて、無意識にそのパターンを踏襲しているからなんです」

母の怒り方に似てきた・・・確かに私もそう思っていました。しみついていたんですね。。

「” そうは言っても・・・”が渦巻き始めると鐘の音も聞こえなくなってしまいます。少しずつでよいので、イラっとした時には、今あるもの、音や感覚、味に意識を向けてみてください。

気持ちが落ち着けば、目の前の状況がよく見えるようになります。よく見えるようになれば、パターン化してしまった行動ではなく、自分らしい行動ができるようになります。選択の自由を得ることができるんですよ」

親が変われば子も変わる?

「マインドフルネスをやっても、もちろん、問題は変わらず残ったままです。子どもが突然聞き分けよくなる、勉強をするようになるという訳ではありません。

でも少なくとも、自分の気持ちが楽になりますし、気持ちが楽になれば、それは親子関係にも影響すると感じています」と言って、柴山さんはご自身の例を紹介してくださいました。

中学生のお子様がいらっしゃる柴山さん。マインドフルネスを実践しているものの、日々、子どもにイラッとすることはあると言います。

でもある時、「怒るばかりではなく、もっと子どもの成長を見守ることを意識してみよう」と思い立ったそう。実際にやったことは、子どもが学校に行くときに、「行ってらっしゃい」と言って背中を見守り、送り出す、ただそれだけ。

しばらくすると、友達の話を自分から話し始めたり、突然「ハグして」と言ってきたりと、お子様の様子に変化が出てきたそうです。

朝の見送りを意識し始めたことだけが子どもの変化の理由ではないかもしれませんが、と柴山さんはおっしゃっておられましたが、この年代の子どものこうした変化は、同じ年代の子どもを持つ親としても素晴らしいと思いました。親への無関心を装っているようで、子どもは大人の気持ちをしっかり感じ取っているものなのかもしれません。

島田先生は、マインドフルネスを木に例えてこう言います。

「考えを止めるのは、木でいう根を広げるため。考えを止めて、事実や自分をしっかり見つめることができる根をはることができれば、少々の嵐が来ても、それがやめばすぐに元に戻れる。

人でいうと、喧嘩したり、イラっとしたりして、感情が揺れることがあっても、揺れ続けたままでなく、すぐに平静を取り戻すことができるマインドフルネスの実践することは、そういう土台を作ることなんです

「マインドフルネスは生きていく上での基本。落ち着いてものを見ることができるようになることは、とても大事です。

子育ては思うようにはいきません。イライラすることもたくさんあると思いますが、マインドフルネスを通じて、そんな時でも落ち着いて、刷り込まれたパターンに陥らず、なりたい自分でいられるようになると、子育てが少し楽になると思いますよ」

こんなワークを通じて、マインドフルネスを視覚的に体験しました。

水が入った透明なボトルに砂を入れて振る。濁った水が入った状態のそのボトル越しに向こう側を見ても何も見えない。それはまさに、怒りなどで、感情が揺さぶられた時の状況。

でも少し時間を置くと、泥が沈殿し始め、水の濁りが薄らぎ、何も見えなかったボトル越しの景色が、透けて見えるようになる。それがまさにマインドフルな状況なのだそう。

参観者の感想

 最後に、参加者の方に感想を聞いてみました。

「参加者とのシェアリングや実際に瞑想も体験できて、楽しめました。マインドフルネスがどういうものなのか全体感がよく分かりました」(40代・男性)

「マインドフルネスは、手法などがあり、もう少し堅苦しいものかと思っていましたが、シンプルで、とてもわかりやすかったです」(40代・女性)

ちなみに私は、心の意外な仕組みが分かって面白かったです。帰宅後、早速”考えるのを止める”実践してみましたが、ちょっと雑念が入りうまく集中できなかったような・・・(^^;。でも心の仕組みと対処法を知ったというだけでも、「私、変われそう」という妙な安心感は生まれました。

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