瞑想を体験!おとなの寺子屋主催の実践版「マインドフルネス講座」に潜入♡

マインドフルネス

11月18日(日)、第13回目となる「おとなの寺子屋」が開催!
テーマは、おとなの寺子屋では馴染み深い「マインドフルネス」。これまでも、マインドフルネス界の第一人者、島田啓介さんを迎えて何度か講座を行ってきましたが、今回は、より実戦的な内容になるとのことで、興味しんしん。そして、今回の講師は、おとなの寺子屋主宰者の、平原憲道(ひらはら のりみち)さんです。

平原さんは、普段は「慶應義塾大学医学部医療政策・管理学教室」にお勤めですが、「武蔵野大学仏教文化研究所研究員」という別な顔もお持ちで、マインドフルネスや瞑想への造詣も深い多彩な方です。

ところで皆さん、人の意識を科学的に分析できるってご存知でしたか?

そんな目に見えないものをどうやって…?と不思議に思われる方も多いことでしょう。でも、それを解き明かすの学問のひとつが認知科学で、「脳内でどのように情報が表象され、変化し、認知現象が起こるのか?」をMRI(機能的磁気共鳴装置)やスーパーコンピューターなどを用いて計測したりモデル化することができるんですって。

そこで興味深いのが、「3人称・客観的観察・物質データ」を使う認知科学の成果と、「1人称・瞑想者による主観的観察・精神と心」を扱う仏教の心理学的な教義の間で、多くの関連が指摘されていること。

こうした最先端の科学を用いたマインドフルネス研究が2000年に入ってから急増し、その心身への効果が指摘される中で、「ブーム」と呼べるような状況になってきたとのことです。

というわけで、マインドフルネス瞑想はもともと仏教の、特に南方系の瞑想法からつくられたものではあるけれど、今では仏教から切り離して宗教色をなくし、「痛みの軽減」「ストレスの緩和」に加え、「集中力の向上」「仕事の能率アップ」といった、心身へ与える実質的な効果が注目されているそうです。

まずは、実際に1分間の瞑想体験からスタート。平原憲道さんの奥様であり、やはり「おとなの寺子屋」主宰者である平原ちひろさんが鐘を鳴らして、始まりと終わりの合図を出してくれます。

たった1分とはいえ、雑念を払って心を無にするのはなかなか難しいもの。それなのに…。なんと、本日の参加者の中に、「2時間瞑想できる」というスゴイ男性が…!聞けば、少林寺拳法の道院(道場)を運営する高い段位の指導者でいらっしゃるとか。さすが、精神修養を極めている方は違います!

簡単な瞑想のやり方は、「座って背筋を伸ばし、足を地につけ、目を閉じてあごを引き、微笑んで、自分の呼吸に意識を向ける」ことだそうです。

さて、1分間の瞑想が終わったところで、マインドフルネスの歴史と体系に関する講義の始まり始まり〜。

そもそも、マインドフルネスには大きな2つの流れがあるそうです。

1つめは、アメリカ人の精神科医であり研究者である「ジョン・カバット・ジン」という人物が1970年代後半より提唱している流れ。こちらは学術的で臨床的、「心の筋トレ」とも言える“ハード”なマインドフルネスと呼べそうです。

もう1つは、「ティク・ナット・ハン」というベトナムの禅僧(フランス在住)が1960年代より教えを説いている内容が体系化されてきたもの。こちらは、より日常的なモードの中でその場、その瞬間での考え方・行い方を丁寧に大切に生きて行こうと言う、いわば“ソフト”なマインドフルネス

この2つの流れが絡み合った形で、マインドフルネスブームが欧米で起こったそうなのですが、現在の日本では、どちらかというと、「ジョン・カバット・ジン」による体系がさらに日常化されて、ビジネスなどに組み込まれたものが主流なのだとか。

それにしても、両氏とも現在もご存命ということで、マインドフルネスの歴史は、それほど古くはないようです。

また、マインドフルネスをはじめとする仏教瞑想の効果を、「瞑想的脳神経科学」の分野から明らかにしようとした科学者のパイオニアに「フランシスコ・ヴァレラ」がいます。

彼は、仏教修行者としての自身の体験を経て、「マインドフルネスなどの瞑想が、うつ病をはじめとする精神疾患や、がんなどの痛みを伴う身体症状に治療的効果をもたらすではないか?」と気づき、「なぜ効くのか?」を検証するべく、瞑想歴のある人とない人を被験者として、様々な実験研究を行ったそうです。

その結果、瞑想歴のある人は、不安感を伴うネガティブ刺激への前頭前野・島皮質の反応がそうでない人たちと比較して有意に減少していることが判明。つまり瞑想を行うことで、脳が外界の刺激に対して安定することがわかったそうです。

日本における瞑想研究の新星は、京大大学院教育学研究科に在籍中で、自身もハードな瞑想修行者である藤野 正寛(ふじの まさひろ)さん。(平原さんは以前からのお知り合いということで、親しみを込めて「藤野くん」と呼んでいます。)

藤野さんは、瞑想を極めるために、ネイティブアメリカンのメディスンマン(伝統的医療の指導者)に弟子入りするなど、大変ユニークな体験をしてこられた方だそうですが、現在は仏教瞑想の実践が日常生活に与える効果とそのメカニズムを明らかにするために、神経科学と仏教心理学を組み合わせた研究を進めているのだとか。

他に、おすすめ書籍として、「マインドフルネスを医学的にゼロから解説する本」(日本医事新報社)が紹介されました。こちらは、「マインドフルネスはなぜ効果があるのか?」について、医学や心理学、仏教、脳科学といった様々な分野から解説したもので、うつ病・不安障害、がん・緩和医療などの疾患に対して、実践的な応用方法まで学べるものとなっているそうです。

このように、科学的な効果検証を経ることで、マインドフルネスブームは、より確固たるものになってきているのだそう。

「瞑想は、自分で実際にやってみて、自分自身で感じるもの。とにかく害はないので、まずは自分の体を使ってやってみましょう!」と平原さん。

そこで、今度は3分間の瞑想体験にトライ。スタート前に参加者からは、「瞑想時に何を意識すれば良いですか?」という質問が…。確かに自分が無になろうとする瞑想って難しいですよね。私も目をつぶってじっとしていることはできますが、それが瞑想になっているかどうかは、かなり怪しい…。

解決策としては、やはり呼吸に意識を向けると良いそうです。また、いろんな考えが浮かんできたら、それを「考えた」というラベルを貼って、一つ一つ手放していくのがコツだそう。

雑念が浮かんでくるのは人間の脳の仕組みからみて仕方のないことなので、それを責める必要は全くないそうです。そうした「判断」をできるだけ挟まずに、淡々と呼吸に戻ることが肝心だと強調されていました。

3分の後は、10分間の瞑想体験にチャレンジ。10分って、日常生活の中では短い時間ですが、瞑想してみると、これが長い!

でも「10分間と短くても、マインドフルネス瞑想を8週間続けると、脳が変化しポジティブな効果が出る」そうなので、できればそれぐらいは頑張って続けたいかも…と思ったりしました。

ここからは、瞑想が進んでマインドフルネスの達人になると、どういうことが起こるのか、何が良いのかについて〜。いよいよ本題に入っていく感じですね(ワクワク)。

「1960年代後半に、UNIXという、マルチタスクを可能とするオペレーティングシステムが登場しました。あれは数百もの電算処理を並行してこなすことができます。では、私たちの意識もそのようなことが可能だと思いますか?

人と話しながらメールを書き、今日のご飯について考えて…オレいっぺんに3つのことできてるわ〜と思ったりしますが、それは違うんです。実は意識や思考の流れが細切れになっているだけで、正確には『マルチ』タスクではないんです。 自分で気づいていないだけで結局はタスクを『スイッチ』しているだけ。むしろ効率は落ちています」と平原さん。

瞑想の進んだ人は、脳の前頭全野(思考や創造性を担う脳の最高中枢)が分厚く変化しているので、集中力が半端ないそうです。

イメージで言えば、瞬間に対する観察力の「解像度」がものすごいので、通常の人が「複数タスクを『並行して』行っている」と感じている現象が、実は「多くのタスクを落ち着きなくスイッチしてあっちこっち切り替えている」状態であることが明確に把握できるとか。 

つねに1つことに全集中するのみのため、それぞれが恐ろしく速くなり、かつ、丁寧に1つ1つを処理できるのだそう…。

例えば、禅宗のお坊さんは、身のこなしが素早く、食べるのも丁寧なのにとても早いし、優秀な外科医は複雑な意思決定も速く、即決力に長けているのだそうです。

また、デキる人は感情に引きずられずに「あっさり」した人が多いそうで、何事もその場で決定し、ずるずると持ち帰らないのだそう。

楽天の三木谷社長も、「今ここで決めてしまおう!」という人なのだとか。 皆さん、感情でべとついた余分な思考が削ぎ落とされているため、迷いがなく、終わったことは終わったことで引きずらない…。

それって最高じゃん!」と思う人は記者だけではないでしょう。時間をかけて「あーでもない、こーでもない」と、うじうじ悩んだり、「あの時ああすれば良かった」と後悔したり…。そんなムダな時間を過ごさずに済むためにも、ぜひ前頭全野を鍛えなくては!!

そもそも私は大きな勘違いをしていました。ただぼーっと電車に乗っているのはムダだから、その間に音楽を聴いて、さらに読書をして、夜の献立を考えて…という、マルチタスク(と信じていた)な行動が、効率的で良いことだと思っていたのです。

平原さんによると、それは「アイドリングしている車みたいなものでエネルギーをだだ漏らししている」のだそう…う〜ん納得。

仏教用語の“念”(「マインドフルネス」の原語)は、すぐに仕事できる、起こった事象にすぐ対応できる状態を表しているそうで、それはまさにマインドフルな状態のこと。「これをやっている時は、これだけ」という潔さが大切なのだそうです。

例えば休み明けの仕事のメールチェック。面倒な案件のメールがどっとやってくると、ストレスフルになってしまったりするけれど、ここは心を落ちつかせて、まずは「メールを受け取って、メールを読むこと」に集中する。そして、「悩む時間は悩むこと」に集中すると、うまく片付くそうです。

瞑想には、座って行う「静座(せいざ)」と歩きながら行う「経行(きんひん)」があり、じっと座って瞑想する時間が取れない人は、通勤時間を利用して瞑想することも可能だそう。その際のポイントは、歩くたびに足の裏がしっかり地面に着いていることを意識すること。

「高津で1、2を争うものぐさなボクでも、経行のおかげで毎日15分の瞑想タイムを確保できています(笑)」と平原さん。(ものぐさな人が、こんなに視野が広く、研究熱心で、しかも「おとなの寺子屋」を主宰できるわけないですけれどね!)

最後に…ティク・ナット・ハンのような「日常を大切にする」タイプのマインドフルネスとして、スマナサーラ長老(上座部仏教/南方仏教)が教える「ヴィパッサナー冥想」の体系の中に、日常の所作に関する勧めが説かれているそうです。

実践するためには、1.スローモーション と 2.実況生中継3.感覚の変化を実感する、ことが大原則。

からだをできるだけスローに動かし、今、行っていることを頭の中で言葉にし、感覚の変化をしっかり感じる…。それにより、心が集中し、結果として成長し、自由で柔軟な発想が生まれるのだとか。

これは、日本古来の伝統文化である「茶道」もしかり。手前の作法にのっとって、ひとつひとつの動作をゆっくり行うことで、マインドフルネスのレベルが上がるのだそう。

ちなみに日本の芸能人だと、期せずしてマインドフルな自己流のトレーニングを続ける「武井壮」に注目してみると良いそうです…。

これらに共通する面白い事実は、スローな動きを大切にすることで、実は思考や行動が結果としてめちゃくちゃ速くなる、というパラドックスが起こることだそう…。「実験として続けて、ぜひ試してみてください」と平原さん。

内容が多くて、頭がついていかない感じもありましたが、「マインドフルネスの効果は学術的に証明されつつある」「瞑想によって脳の前頭全野が発達する」「マインドフルな状態を保つことで、集中力や決断力が上がる」といったことがわかり、目からウロコの思い…。

「忙しくアレコレ考えるのはやめて、目の前のことに集中する習慣をつけよう!」と、思わず心に誓ったのでした…。

講義のあとは、近くのカフェレストラン「がいあ」で懇親会♪ボージョレ・ヌーボーで乾杯しましたよ!

コメント

タイトルとURLをコピーしました